先日の建設業許可業者の法人様からのご依頼

「代表者が急逝しました。変更手続きを至急お願いしたいのですが…」

今回のケースは、取得されている許可業種は2業種。
急逝された代表取締役が、

「経営業務の管理責任者」
「2業種の専任技術者」

となっており、取引先より建設業許可の維持が可能なのか、早急に対応
を迫られていたようです。

「経営業務の管理責任者」については、代表取締役の奥様が、
5年以上前から取締役として登記されており、会社が建設業許可を取得
してからも5年以上経過しているため、

・会社の履歴事項証明書及び建設業許可通知書
 ※5年以上の建設業経営経験の証明
・健康保険証
 ※現在の常勤性の証明

で経営経験の証明、現在の常勤状態の証明をすることにより、奥様に変更することができました。

「専任技術者」については、技術資格を持っている職員はいませんでしたが、奥様が会社に常勤で建設業に従事するようになってから10年以上、そのほか、10年以上勤務している技術職員の方が1名いらっしゃたので、

・各自の(年金)被保険者記録照会回答票
 ※実務経験期間中の常勤性の証明となります。

・各年度1通づつで10年度分の、請負契約書又は発注書もしくは
 請求書の写し(2業種分)

 ※決算変更届提出済み年度は、その写しでもOK

・各自の健康保険証 ※現在の常勤性の証明

これで2業種分、専任技術者も無事変更、結果、取得していた許可業種
2業種とも維持することができました。

 今回は現状の役員・スタッフにて変更することができましたが、
代わりとなる人がいない場合は、急遽社外から新たに要件を満たせる人を探してくるか、建設業許可をあきらめる(許可廃業)しかなくなってしまいます。

 小規模企業のほとんどは同族会社で創業社長の単独経営。
配偶者(奥様)についても、役員には入れているものの、節税対策等で
非常勤、または事実上常勤でも報酬は扶養の範囲内というケースが多いかと思います。
これが意思決定の速さ、自由な経営、経費節減対策など小規模企業のメリットでもあります。

社長が不在となれば、事業自体が継続不能で廃業せざるを得ない場合は、必要性は低いですが、社長に不測の事態が発生した後も「事業継続をしていく」「していかねばならない」という場合は、

・取締役の追加
・配偶者の勤務形態の検討(非常勤→常勤)
 ※実務経験期間証明の際に役立ちます。目先の経費は増えます。
・技術職員の資格取得の推奨

など、リスク対策を考えておく必要がありますね。

もちろん、建設業許可の観点のみでない、全体の事業承継対策もです。